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アメリカ商標法解説(3)連邦と州の二元性・・・裁判システム
連邦の裁判所
合衆国憲法の制定後、連邦議会は「裁判所法」を制定し、これにより事実審裁判所である第一審裁判所の合衆国地方裁判所(United States District Court)、控訴審を扱う合衆国控訴裁判所(United States Court of Appeals)、そして合衆国最高裁判所(Supreme Courts of the United States) が設置されました。
全米には各州の最低1つ、そしてコロンビア自治区、プエルトリコやグアムといった準州も含め、合計で90以上の合衆国地方裁判所があります。人口が多い州、たとえばカリフォルニア州やニューヨーク州には複数の地方裁判所があります。
控訴裁判所は、全部で13個あります。まず州の地理的な区分で構成された11の巡回裁判所があります。どの巡回区裁判所が管轄を有するかは、下記の図のとおり地方裁判所の所在地によって決まります。例えば、第四巡回区控訴裁判所は、メリーランド州、ヴァージニア州、ウェストヴァージニア州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州の連邦地方裁判所の上訴を管轄します。また、これ以外に首都ワシントンを含むコロンビア自治区に1つあり、そして主として特許事件を審査し全米を管轄する連邦巡回区控訴裁判所があります。
United States Courts(https://www.uscourts.gov/about-federal-courts/federal-courts-public/court-website-links)より引用
州の裁判所
一方、各州にも独立の裁判所制度があり、多くの場合、連邦裁判制度と同じように、事実審裁判所と控訴裁判所、最高裁判所の三審制をとります。
このように、連邦と州の権限分担に合わせて、裁判制度も二元性を有します。連邦裁判所のみが扱うことができる専属管轄(海事事件や特許・著作権の事件)以外は、連邦裁判所、地方裁判所のいずれも管轄権を有することになります。商標に関する民事訴訟については、どちらにも訴えを提起することができます。