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アメリカ商標法解説(7)コモン・ロー上の商標権・・・権利の競合

例えば、Aさんが商標「ABC」を使用するハンバーガーレストランの営業を2015年9月1日からフロリダ州で開始し、Bさんが類似商標「abc」を使用するハンバーガーレストランの営業をAさんより後の2015年11月1日からイリノイ州で開始したとします。

 

この場合、Bさんの使用はAさんよりも後ですが、商標の使用地域が競合しませんので、BさんがAさんの商標の存在を知って(knowingly)類似商標の使用を開始した場合を除き、Bさんの使用はAさんのコモン・ロー上の権利を侵害することにはならず、Bさんは商標「abc」を引き続き、その地域で使用することができます。

 

一方、AさんとBさんが、いずれもフロリダ州及びこれと近接する州においてでハンバーガーレストランを経営していた場合、Bさんの行為はAさんとの関係で出所混同を生じさせるものです。したがって、BさんがAさんの商標の存在を知って類似商標の使用を開始した場合、Bさんの行為はAさんのコモン・ロー上の権利の権利を侵害することになります。

 

使用地域が抵触するか否かの判断は、将来的な出所混同のおそれも考慮することになりますので、実際の使用地域を超えて、その商標使用が将来的に拡大するのが自然であると思われる地域的範囲(natural expansion)にも権利が及ぶものとされます。また、商標が有名であれば、実際の使用地域を超えて公衆の認知が広がりますので、この場合も権利行使が認められる地域的範囲が拡大すると考えられます。

アメリカ商標法解説(8)制定法に基づく商標権(州登録と連邦登録)