
日本での1年間の商標出願件数が20万件弱ですが、中国での出願件数は2018年度に800万件に達したとも言われており、これが「1区分を1件としてカウントしている」ことを考慮しても、相当な出願件数だと思います。これほどまでに出願件数が増えている理由として、当然ながら中国の経済発展が根底にありますが、当初より転売目的で出願している場合も多いようです。というのも、特許庁に支払う印紙代は5千円程度ですので、これが例えば10万円で売れたりすれば、かなりの儲けとなります。
日本の商標実務では「転売目的」の出願は商標法第3条1項柱書に違反するものになりますし、特定の人物がそのような出願を行ってきた経緯はありますが、ごく一部の現象であって一般的に受け入れられる考え方ではありません。ところが中国では、ビジネスをしたいと思ったときにすぐに登録商標が無くてはならず(例えば天猫(T-Mall)などのオンラインショッピングモールに出店する際も、登録証の提示が求められる)、出願して登録になるまでの1年弱を待っていられないことから、商標を「他人から購入する」という考え方があるようです。弊所の経験でも、中国からの問い合わせで「登録商標を持っていたら売って欲しい」と言われ、困ったことがあったのですが、このような背景事情を聞くと、少し納得できます。
そんな訳で、巷には商標転売サイトというのも存在し、たとえば「快標網」などというサイトがあります(http://k-biao.net/)。ちょこっと調べてみると、需要が高そうな(!?)サプリメントの分野などでは、1件40万円くらいで販売されており、なかなかの活況です。
実務的には、不使用取消審判を前提とした使用調査の際に、対象商標がここに掲載されていれば「当初より転売目的で『不使用である』可能性が高い」と推測するために、活用しております。